KAMINE 社長ブログ

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スイス ジュネーブで親子二代に亘って続く高級機械式時計作りマイクロメゾン(小規模ファクトリー)“ローラン・フェリエ”

スイス ジュネーブで親子二代に亘って続く高級機械式時計作りマイクロメゾン(小規模ファクトリー)
“ローラン・フェリエ”創業者のローラン・フェリエ氏と息子のクリスチャン・フェリエ氏
二人共、生粋の時計エンジニアです。

昨年オープンしたカミネ エスパス店にはローラン・フェリエのオフィシャルコーナーが完成しました。
それを記念して、スイス本社からクリスチャン・フェリエ氏を招いてトークショーを開催。
大勢の時計好事家の皆様にお越し頂いて、質疑応答などホットな一日となりました。

クリスチャン・フェリエ氏 47歳
今や世界的に注目されるブランドとなったローラン・フェリエについて彼の話しをゆっくり聞いてみました。

クリスチャン氏は、かつて ジュネーブでロジェ・デュブイが創業した頃、創業者の一人でクリエイターとして天才とも言われたカルロス・ディアス氏とパテック フィリップ出身の高名な時計師 ロジェ・デュブイ氏に数年間師事しました。
その後、父ローラン・フェリエ氏と一緒に仕事をすることとなった彼は、パテック フィリップでの実務経験が豊かな父から 時計作りの根本と細部に亘る薫陶を受ける毎日を送ります。そこで ローラン・フェリエ社の立ち上げ時からのウォッチメイキングを受け持ったファブリック デュタンの高名な時計師 ミシェル・ナバス氏やエンリコ・バルバシーニ氏らとも仕事を共にしました。

ここまで歩んできた彼のその得難い程 稀有な経歴から(英才教育とも言えるでしょう)生み出されるローラン・フェリエの時計のひとつひとつが如何に素晴らしいのかを物語っていると思います。

 

ローラン・フェリエの 妥協を許さない時計製造のプロセスは最高のサプライヤーから供給されるパーツで構成され、最先端の一端をすくい取るようなもののみを活用して文字盤、針、外装の下請けのコネクションで時計製造分野の頂点を極めます。

一旦完成したムーブメントはTOPクラスの職人たちによって懇切丁寧な二度組みまで行った上、自社アトリエで完成されます。それは年間100本にも満たない僅かな総生産数で、当然 1本あたり高価なものとなりますが、その分、究極のタイムピースを手にするとも言えるのだと思います。

(注:写真は一部 “Watch Media Online“より掲出させて頂きました)

 

ローラン・フェリエはスイス時計産業で最も栄誉とされるジュネーブ・ウォッチメイキング・グランプリ GPHG を過去4度も受賞した実績を持ちます。

 

それでは、ローラン・フェリエの逸品の数々をご紹介いたします。

クラシック ダブルバランススプリング トゥールビヨン

手巻き、振動数:21,600振動/時(3Hz)
パワーリザーブ80時間、スイスレバー脱進機
ホワイト グランフーエナメルダイヤル、18Kイエローゴールド
ケース径:41.0mm,ケース厚:12.5mm
防水性:30m防水
オーダー可能 ¥32,670,000(税込)

ローラン・フェリエはブレゲの時代に懐中時計から生まれたトゥールビヨン製造の原則にのっとり、トゥールビヨン脱進機は全て表からは見えません。クラシック ダブルバランススプリング トゥールビヨンの凄いムーブメントはケースバックから堪能出来ます。

 

この写真はスクエアマイクロローター のケースバック
ナチュラル脱進機を搭載しています。

ローラン・フェリエの中でも代表的な機構の一つであるナチュラル脱進機は、世界でもごく少数の限られたブランドしか手を出すことができない複雑機構です。
この機構はスイスの時計学校では教わることがない独自開発技術であるため、組み立てができる技術者は非常に少ないと言われています。

 

そのような難解な機構になぜ挑戦したのか。
多大な人件費や開発コストがかかることは目に見えていますが、クリスチャン氏はこう答えました。

 

「ナチュラル脱進機は天才時計師ブレゲが開発した歴史ある機構だからこそチャレンジしたのです。
父はブレゲを常に尊敬しており、それゆえ伝統的な時計作りを志してきました。」
時計師としての想いや野望が見え隠れした瞬間でした。
腕時計として極めて高度な一級品。
そこにはローラン・フェリエならではの時計作りの哲学があり、だからこそ他社には真似ができない機構を有する
時計を完成させられるということを改めて実感しました。

 

一昨年 発表された話題作。
この時計が生まれた逸話は数多く、とても興味深いものです。
ローラン・フェリエ スポーツオート 自動巻

振動数:28,800振動/時(4Hz)、パワーリザーブ72時間
スイスレバー脱進機、ブルーグラデーション オパラインダイヤル
グレード5チタニウム、ケース径:41.5mm,ケース厚12.7mm
防水性:120m、オーダー可能 ¥8,712,000(税込)

 

ローラン・フェリエ クラシックオリジン ホワイト 手巻き

振動数:21,600振動/時(3Hz)、パワーリザーブ80時間
スイスレバー脱進機、シルバーホワイト オパラインダイヤル
グレード5チタニウム、ケース径:40.0mm,ケース厚:11.1mm
防水性:30m防水、オーダー可能 ¥5,995,000(税込)

 

ローラン・フェリエ クラシックオリジン ブルー 手巻き

振動数:21,600振動/時(3Hz)、パワーリザーブ80時間
スイスレバー脱進機、グラデーションブルー オパラインダイヤル
グレード5チタニウム、ケース径:40.0mm,ケース厚:11.1mm
防水性:30m防水、オーダー可能 ¥5,995,000 (税込)

 

トークショーではローラン・フェリエアフターサービスについても話してくれました。

現在も少量生産を維持するローラン・フェリエでは、実際に組み立てをした技術者が、責任を持ってオーバーホールを行っています。

 

技術者一人一人の日々の作業は非常に丁寧かつシンプルな工程によって行われており、先々のメンテナンスにおいても継承を睨んだものである事は明らかで、
世代を渡って引き継ぐことができるという腕時計の本質的な魅力の一つを置き去りにしないところも、このブランドが評価されている理由だと思います。

 

トークショー後は 皆様と、クリスチャン・フェリエ氏やマネージャー・ロバート氏と通訳を交えて、直接色々お話し頂きました。

世界で一番 時計を見る眼が厳しいとされる日本のエンドユーザーの方々と 実に貴重なお話しが出来たと、クリスチャン・フェリエ氏は大感激でした。

 

トークショーにご来場いただいたお客様の中に、思い出深い時計を着用して参加頂いたお客様がおられました。

2016年に、カミネ創業110周年を記念して数種類製作した内の1点で、グランフ―エナメルガレ マイクロローターです。
カミネ110thモデルは全て40㎜ケースでしたが、実はローラン・フェリエ氏に頼み込んで特別に39㎜で製作したワンオフモデルが存在したのです。

 

1870年代の懐中時計から着想を得た文字板デザインは、39㎜を更に小顔のイメージにするためインデックスを内に寄せ、印象的な配色に加え、GRAND FEU EMAIL の記載等、拘り抜いて製作しました。

 

ローラン・フェリエがまだ名も知れぬ頃からその実力に惚れ込んで製作した記念モデルを 永きに亘り ご愛用いただき、お客様、ローラン・フェリエ、カミネの歴史がクロスオーバーする感慨深い場面となりました。
後日 番外編で LF×Kamine 110th Anniversaryについてお伝え致します。

 

閉店後の打ち上げはクリスチャンの大好きな和食ディナーで・・・
彼の趣味は本格的なルアーフィッシングで、ほぼ毎週末 ジュウ湖畔やその付近の渓流で釣りを楽しむとか。(道具に対する拘りはすごい・・・)

 

ローラン・フェリエ社のヘッドマネージャーのRobert Bailey氏を加えて3ショット。

 

クリスチャン・フェリエ氏の腕にはダブルバランススプリングのトゥールビヨンが・・・。

 

ローラン・フェリエというブランドとその背景にあるクリスチャン・フェリエという人の存在。
時計人として彼とブランドのこれからの将来は、益々楽しみになってきた一日でした。
ご来場の皆様、有難うございました。

L’espace de kamine  ➡ https://www.kamine.co.jp/shop/lespace/

 

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