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グルーベル フォルセイ 時計作りの神髄~ワークショップレポート 集中連載第二回・部品製造部門編

WATCH MEDIA ONLINE に連載企画で『グルーベル フォルセイのワークショップレポート』が紹介されました!

 

時計作りの神髄 グルーベル フォルセイ ワークショップレポート第二回・部品製造部門編

前回、ワークショップの概要と福利厚生についてお伝えしたグルーベルフォルセイワークショップレポート。第二回目の今回は、時計作りのスタート地点であるムーブメント部品を製造する部品製造部門についてお伝えします。

 

 

 

 

 

ハイテクなガラスづくりの30度に傾いた建物の1階、頑丈な土台を持つ開放感のある空間が部品製造部門です。内部では油が使われていますが、“病院グレードの空調設備”により、ドアを開けるまで油のにおいはほとんど感じられません。

 

 

 

 

 

目の前に見えているのはワイヤ放電加工機、極細のワイヤから金属板に放電し、そのエネルギーで金属を蒸発させ切断を行う機械です。

 

 

 

 

 

上部にセットされたリールからワイヤが送られ、緑色の加工液の中に沈んだ金属をカットしていきます。この機械ではバネや細い部品を加工します。

 

 

 

 

 

主に地板を加工する多軸CNCフライス。数よりも質を重視した加工を行うため、加工は比較的ゆっくり行っているとのこと。

 

 

 

 

 

 

加工の様子。加工温度を一定にするため、冷却兼潤滑を行う加工油が勢い良く吹き付けられています。

 

 

 

 

 

別のタイプのフライス加工機も。

コンピュータ制御の大型加工機のエリアを抜けると、人手で行う仕上げ加工のセクションへ。

 

 

 

 

 

これはピニオンを仕上げる加工機。粗削りしたピニオンの面を取って仕上げます。

 

 

 

 

 

先ほどの図に対応する回転するやすりと歯車を仕上げるバフが。

 

 

 

 

 

試作や小修整を行うための小型旋盤。

 

 

 

 

 

ポリッシュを行うサンダーや焼き入れを行うための電気炉。

 

 

 

 

 

ユニークピースや生産数の少ないピース用の部品を製造する大型手動機械のセクション。

 

 

 

 

 

一個作りの部品や、プロトタイプの制作は小回りの利くこちらで行うようです。

 

 

 

 

 

建物の一番奥には長い金属棒をそのまま加工することができるCNC旋盤が。

 

 

 

 

 

この時作られていたのは微細なネジ。緻密な加工を経て作られたネジが滑り落ちてきてお皿に溜まっています。

 

 

 

 

 

向かって右側のフィーダーから金属棒が送られ、ネジに加工、最後に切断…を繰り返してネジがどんどん作られます。

 

 

 

 

 

ストックされている各種の金属棒。それぞれの部品に合わせて最適な素材が使われます。

 

 

 

 

 

もちろんマテリアルはスイス製。
さて、工作機械は充分なものが備えられ、加工速度をゆっくりにし量より質を求めた加工がおこなわれていますが、もう一つ特徴的なことがあります。

 

 

 

 

 

この加工の各工程を表したブランクを使って説明されました。大抵のCNCを使っているブランドではCNC加工が終わった時点ですでにムーブメントのエッジが落とされた面取り済みのような形を出力し、それを人がやすりでさらに丸めるようなやり方で加工しています。

 

 

 

 

 

グルーベルフォルセイはその近代的なやり方(効率的な方法)をとらず、CNCの加工の状態では90度で断ち切ったエッジが立った状態で仕上げ、面取りは全ての工程を人が行うという方法をとっています。これは古典的な時計作りでエボーシュ(半完成品)のムーブメントはあくまで素材として、一人の時計職人が調整と仕上げを行っていた伝統的な方法を現代でも愚直に繰り返すことが高品質な時計を作るための唯一の方法だという彼らの哲学を反映している…と感じました。

 

 

 

 

 

また地板とプレートは懐中時計かと思うような堅牢さ、信頼性の高さのためには頑丈である必要があるという信念を感じます。

 

 

 

 

 

ブリッジやバネと言った細かい部品類。これらもCNC加工で行うのは形を切り出すところまでで、仕上げはすべて手作業で行うべきという方法が徹底されています。

 

 

 

 

 

こちらは旋盤で加工されたネジやピニオン。これらも手作業によって芸術の域にまで高めた仕上げが施されます。

今回はここまで、次回はこの高精度に作られた部品が人の手によって極限まで磨き上げられる仕上げ部門をお送りします。

 
【グルーベル フォルセイに関する問い合わせ】
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篠田哲生

最高峰の時計ブランド「パテック フィリップ」の魅力とは何だろうか?
数々の仕事を通じてこのブランドに出会い、魅了され、遂にはユーザーとなったライター、ウォッチディレクターの篠田哲生氏が、自身の目と経験から感じた、"パテック フィリップのこと"について語る。

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