Vol.1
僕がパテック フィリップに出会った頃の話。

 最近は、さほど時計に詳しくない人でも「パテック フィリップ」の名を知っているし、若いユーザーも増えているらしい。しかし僕が時計の仕事を始めた20年ほど前は、知る人ぞ知る名門ブランドという感じだった。”上がりの時計“とも呼ばれ、時計趣味を極めた大人が手にする時計とされていた。

 しかしなぜパテック フィリップは、これほどまでにステイタスが高い時計ブランドなのだろうか? それが不思議でもあった。例えば創業は1839年と古いが、もっと歴史あるブランドは存在しているし、創業者のアントワーヌ・ノルベール・ド・パテックがポーランド出身というのも、純血主義を好むスイスの時計業界からすると異色である。時計はもちろん美しいのだが、伝統的であるがゆえに逆に際立つ個性は見えない……。特に当時の僕は30そこそこで、派手目なスポーツウォッチに惹かれていたこともあって、パテック フィリップに対して特別な感情を抱くことはなかった。その当時の自分の世界には入ってこなかったというのが正解だろう。

 しかし仕事を通じてパテック フィリップのことを知るにつれ、時計に魅せられていくのが分かった。例えばシンプルなドレスウォッチ「カラトラバ」は、数多あるドレスウォッチのお手本とされる名作であり、その丁寧な作られたディテールを楽しむものだ。また、どれだけ古い時計であっても完璧に修理できる体制が整っているという点に感心し、オークションでは過去の傑作が数億円という高額で落札されることにも驚かされた。

 結局のところ、自分がスイス時計に対して感じていた良いイメージ。すなわち「美しく、機能的で、いつまでも価値がある」という“スイス時計の世界観”を作り上げたのが、パテック フィリップというブランドだったのだ。だからこそ“上がりの時計”として、多くの時計愛好家から憧れの対象となっていた。「パテック フィリップって凄いんだな……」。そんな漠然とした感想は、スイス・バーゼル開催される世界最大の時計と宝飾の見本市「バーゼル・ワールド」でより強固なものになるのだった。(Vol.2に続く)

COLUMN

最高峰の時計ブランド「パテック フィリップ」の魅力とは何だろうか?
数々の仕事を通じてこのブランドに出会い、魅了され、遂にはユーザーとなったライター、ウォッチディレクターの篠田哲生氏が、自身の目と経験から感じた、"パテック フィリップのこと"について語る。
【今後の連載予定コンテンツ】
■モンブラン橋のパテックフィリップ本店  ■手にして理解したパテックフィリップの効能  ■やっぱりに気になる「カラトラバ」Ref.5196  ■旅を夢みて「ワールドタイム」  ■女性だったら「Twenty~4」  ■マニアックな味があるセンターセコンドの「カラトラバ」  ■挑戦してみたいバゲットダイヤ×パテック  ■新型ムーブメントの「カラトラバ」  ■憧れの「手巻きのクロノグラフ」  ■究極のコレクションピース「クロック」

 

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