KAMINEスタッフブログ

手巻き式時計を愉しむ

本日のブログは、スタッフが続々と「トップガン・マーベリック」を
鑑賞しているカミネ旧居留地店より気合いを入れて発信します!

※とにかくカッコいいトム・クルーズさん

36年前のトップガンを観ていなくても十分楽しめるストーリー展開です。
撮影中俳優陣はCGではなく実際に音速マッハの戦闘機に乗って
演技したそうです。

加速で激しい圧が掛かったリアルな表情は迫力炸裂していました!
IMAXでの鑑賞もおすすめです!

※機種にちなんでF-18席をバッチリ予約したYさん

<トップガン マーヴェリック:全国映画館で絶賛上映中>
スタッフ・キャスト
監督:ジョセフ・コシンスキー、脚本:アーレン・クルーガー、エリック・ウォーレン、クリストファー・マッカリー
製作:ジェリー・ブラッカイマー、トム・クルーズ、クリストファー・マッカリー、デヴィッド・エリソン
出演:トム・クルーズ、マイルズ・テラー、ジェニファー・コネリー、エド・ハリス
配給:東和ピクチャーズ

いきなり時計とは違う話から入ってしまいましたが、
今回はカミネ旧居留地店にてお取り扱いしている
現行の手巻き時計モデルのご紹介を間に入れつつ、
手巻き式時計の仕組みや魅力、歴史を綴って参ります!

今回のブログは以下の内容でお送り致します。
①機械式時計の歴史と大航海時代
②機械式腕時計の歴史
③手巻き時計のパワーリザーブ
④手巻き時計は壊れにくい?メンテナンス費用が安い?
⑤ドレスウォッチにふさわしいのは手巻き?
⑥まとめ

①手巻き時計って何を巻いている?

「機械式時計」の中では、数としては「自動巻き」の方が多いのですが、
カミネ旧居留地店では「手巻き」時計も複数取り扱いしております。

英語では自動巻き時計をオートマティック
手巻きはマニュアルワインディング、ハンドワインディングと呼びます。

機械式時計はムーブメント内部にある
「香箱」の中で巻き上げられたゼンマイが、
徐々にほどけて元に戻ろうとするときの動力エネルギーで
動く仕組みになっています。

このゼンマイを巻き上げる工程を、
手巻き式は「手でリューズを回す」ことによって行います。

手巻きに対して自動巻きは、
ローターと呼ばれるパーツが腕の動きに合わせて振れて回転することで
自動的に巻き上げられる機構です。

手巻き式ではくるくると巻き続けると
やがてゼンマイの「巻き止まり」がやってきます。

それ以上は巻けないようになりますが、
そこを無理に巻こうとするとゼンマイが切れてしまう可能性があるので
その点は注意が必要です。

各ブランドのモデルによって、
リューズから指に伝わる巻き上げの感覚が違うのも面白いです。

コリコリコリ、カリカリカリ、カチカチ、
それぞれの音や感触の個性が楽しめるのも
手巻きならではの楽しみのひとつですね。

当店販売スタッフ私物着用率ナンバーワン!「ジャガー・ルクルト レベルソ」ジャガー・ルクルト 「レベルソ・クラシック ラージ スモールセコンド」
のご紹介

ステンレスケース45.6 x 27.4 mm
手巻き 価格:985,600税込
ジャガー・ルクルト製キャリバー 822
部品:数108個
毎時振動:21600回
パワーリザーブ: 42 時間

激しいポロ競技に耐用できる腕時計として1931年に誕生してから
ジャガー・ルクルトのアイコンとしての地位を確立してきたレベルソ。
優美なアールデコ時代の全盛期に誕生しました。

長方形の形状と洗練された無駄のないラインが、
タイムピースの直線的な形状をゴドロン装飾が際立たせます。
回転式ケースデザインとトライアングル型の上品なラグ形状が
ストラップにシームレスになじむよう設計されています。

そんなレベルソには50種以上の異なるキャリバーが存在しており、
老舗マニュファクチュールであることが再確認できます。

A.ランゲ&ゾーネ 「1815」のご紹介

Ref.,235.032 / LSLS2354AD 
価格:3,278,000-税込 
ピンクゴールドケース38.5㎜
手巻き 、3気圧防水、キャリバーL051.1
ムーブメント部品数188個
パワーリザーブ55時間

1815は、実際に焼き入れを行っている伝統的な製法のブルースチール針や
アラビア数字、線路をイメージしたレイルウェイモチーフの分目盛りなど、
昔年のランゲ製タイムピースを彷彿とさせる要素が取り入れられています。
つまりランゲ一族に継承されてきた時計製造の伝統を体現する時計なのです。

ムーブメントにも素材の特性をそのまま生かした洋銀製4分の3プレート、
ブルースクリュー、ビス留め式ゴールドシャトン、
ハンドエングレービング入りテンプ受けを始めとする
伝統的な要素を取り入れています。

1815というネーミングは、
A.ランゲ&ゾーネの創業者フェルディナント・アドルフ・ランゲ生誕の年を
表しています。

フェルディナント・アドルフ・ランゲは1845年、
ドレスデン郊外のエルツ山地にある小さな町で時計工房を開業しました。

この勇気ある決断が、ドイツの機械式時計産業を成功に導き、
また同時に当時貧困に苦しんでいたエルツ山地に繫栄と活気をもたらしました。

やがてフェルディナント・アドルフ・ランゲが製作する懐中時計の評判は世界に広まり、王侯貴族も愛用する時計として知られるようになりました。

②機械式時計の歴史と大航海時代

大航海時代の到来でヨーロッパ諸国がこぞって新大陸発見の航海に出ましたが、航路の計算は大変骨の折れる作業。

緯度は太陽や星の高さを測って割り出せますが、経度を測る手段は当時なく、

六分儀計という計器で算出する方法では
船の正確な位置を把握することが難しく海難事故が多発します。

1707年にはイギリス海軍軍艦4隻が岩礁に衝突沈没し、
乗組員2千人が亡くなる大事故も起きました。

そのような事例もあったことから、1714年イギリス議会は、
海上で経度を確定する「実用かつ有効な」手段を見つけたものには、
高額の賞金を与えるという法律を発令します。

マリンクロノメーター

これにより海洋航海で揺れる船上でも正確に時間を刻む
「マリンクロノメーター」の開発に多くの時計師や技術者が勤しみました。

③機械式腕時計の歴史

18世紀に創業した数々の有名ブランドが手巻き時計ムーブメントの研究・進化に貢献してきました。

1735年に現存する最古の時計ブランド「ブランパン」創業。

1755年には創業から一度も途切れなく続いている、
世界最古のブランド「ヴァシュロン・コンスタンタン」が創業しました。
(ブランパンは休止期間有り)

現存する最古の手巻き式腕時計は、
1806年にパリの宝石商二トーが作製したもので、
ナポレオンが妻ジョセフィーヌの為にオーダーした
ブレスレットウォッチと言われています。

19世紀、社交界の男性達が懐中時計を所有する中で、
富裕層の女性たちはこぞって小さな時計がついたブレスレットウォッチを
宝石商にオーダーしていました。

腕時計を身に着けるファッションとして愉しんだのは女性が先となります。

男性用時計といえば腕時計ではなく懐中時計だった時代、
1880年にドイツ皇帝ウィルヘルム1世が、
ジラール・ペルゴ社に2000個の軍用腕時計を発注したのが、
世界で初めての腕時計量産の記録となります。

確かに戦場では、懐中時計を取り出して使うよりもパッと文字盤を見ることができる腕時計があったほうが格段に便利ですよね!
といっても当時のクオリティでは懐中時計を加工して
かろうじて腕に巻き付けただけのような仕様だったようです。

男性用腕時計として世界で初めて認識されたのは、
1904年に飛行家でありファッションにも精通していた
アルベルト・サントス・デユモンが、カルティエに開発を依頼した時計
というのは有名なお話です。

紳士用は懐中時計をルーツとして丸型時計が当たり前だった当時、
サントスのようなドレッシーな角形腕時計はセンセーショナルでした。

ケースとラグが一体化されていて丈夫で視認性の高いデザインは、
フライトウォッチをリクエストしたアルベルト・サントスの要望通りの仕上がりとなりました。

腕時計として実用的なサイズへの小型化と性能向上がどんどん進み、
1920年代には「腕時計の商品化」が始まりました。

1926年にフォルティスが世界で初めて自動巻き時計を商品化してから、
1930年代には各有名ブランドがこぞって
自動巻きムーブメントを発売しています。

手巻き時計のムーブメントに、モジュールを追加してできた自動巻き時計。

以降『ゼンマイを毎回手で巻く必要が無くなった利便性の高い時計』として、
自動巻き時計が人気を高めていきました。

④手巻き時計のパワーリザーブ

一般的には1日1回の巻き上げが目安となる手巻き式時計ですが、
ムーブメントの開発で3日間、8日間、10日間などの
長いパワーリザーブモデルも出ています。

8日間巻以上はダイヤルにパワーリザーブ表示があるモデルが多く、
一目でパワー残量が分かるので、
巻き上げてパワーリザーブ表示が増えるのを見るのも
ロングパワーリザーブモデルの醍醐味です。

ウブロ ビッグ・バン 「メカ-10チタニウム」のご紹介

REF:414.NI.1123.RX
価格:2,563,000-税込
マイクロブラスト加工チタニウムケース45 mm
防水性 10気圧(100m)
ムーブメントHUB1201
ムーブメント部品数223個4
手巻き  パワーリザーブ10日

ウブロは1979年にスイスのレマン湖畔にある小さな町ニヨンで、
イタリア人のカルロ・クロッコ氏によって創設されました。
HUBLOT『ウブロ』とはフランス語で、
船の採光用小窓である「舷窓」を意味します。

創業翌年の1980年バーゼル・フェアで衝撃的なデビューを飾り、
斬新でクリエイティブなデザインで業界に新風を吹き込みました。

高級時計にはタブーだったラバーストラップを大胆に採用し、
スイス時計製法の固定概念を見事に打ち破ったことで、
当時の時計業界においては異端とされていました。
しかしながらウブロは、流行発信地であるイタリアを中心に、ファッション界で絶大な支持を受け、世界中で高い評価を獲得していきました。

⑤手巻き時計は壊れにくい?メンテナンス費用が安い?

「手巻きは自動巻きに比べると故障しにくい?」というご質問を頂きますが、
これはモデルごとにムーブメント構造が様々なので
一概にはそうとは言えません。

「オーバーホールなどのメンテナンスコストが低い?」ということについても、各ブランド・各モデルごとに仕様が違うので一様に言えないところです。
一般的には同一ブランド内ではパーツ数が少ないシンプルモデルのほうが、
メンテナンスコストは比較すると低い設定になっています。

【ムーブメントのパーツについて一部解説 ※難しい…】

リューズ(Crown)

ぜんまいの巻き上げや時刻調整をするための部品。一般的にはギザギザした突起状をしており、腕時計のケースサイド正面右側に付いていることが多い。
リューズを指でつまんで回転させることによって
ぜんまいを巻き上げたり時刻合わせを行う。

キチ車(Crown wheel)

巻き上げ用のパーツ。巻き真に固定されており、リューズと丸穴車を連結する。リュウズを回すと、キチ車を経て丸穴車が回転し、
香箱内のゼンマイを巻き上げる。

丸穴車(Crown wheel)

巻真と角穴車を連結するパーツ。
かつての高級時計ではブリッジをかぶせて歪みを防いでいた例もある。
現行の時計でも、丸穴車の固定に太いビスを使うことで、
同じく強度を確保しているものが多い。

香箱(Barrel)

主ゼンマイを収める筒状の部品。ゼンマイにホコリが付着せず、
注油可能というメリットを持つ。

香箱、香箱蓋、香箱真の3部品で構成される。

自動巻きの場合、主ゼンマイを香箱内でスリップさせることで巻きすぎを防止するが、滑りすぎるとトルクが落ち、滑らないとトルクが強すぎる。なお主ゼンマイがほどけた際の面積は、理論上、香箱中の使用できる面和の半分に等しいことが望ましいとされる。

角穴車(Ratchet wheel)

香箱芯と重なっている歯車。リューズの回転を丸穴車経由で伝達し、
ゼンマイを巻き上げる。

かつての高級機には、角穴車の上に受け板(ブリッジ)を被せたものもある。

ガンギ車(Escape Wheel)

脱進機の一部品。輪列の回転運動をアンクルに伝えると同時に、テンプの振動周期を輪列に伝えて、規則正しい運針を司っている。
ガンギ車とアンクルの接触面は油が拡散しやすいため、各メゾンは工夫を凝らしてきた。
1999年のオメガ「コーアクシャル脱進機」は、ガンギ車とアンクルの接触面をほぼ無注油とした。
一方、素材を見直すことで無注油となったのが、ここ数年の「シリシウム製脱進機」である。
また、ガンギ車の素材を軽量化することで、テンプヘのトルクの伝達効率を大幅に改善できる。

アンクル(Ancre)

脱進機を構成する部品。ガンギ車とテンプを結んでいる。
ふた股に分かれたアームには爪石がついており、
これがガンギ車で駆動することで、ゼンマイの回転運動を左右の振幅運動に変換し、テンプを左右に振る。

テンプ(Balance with hairspring)

調速機のひとつ。ヒゲゼンマイとテンワなどによって構成される。
丸型テンプ自体は以前からあったとされるが、
クリスチャン・ホイヘンスがヒゲゼンマイを発明したことで
丸型テンプが実用化された(1675年)。

⑥ドレスウォッチにふさわしいのは手巻き?

どのような腕時計をドレスウォッチと呼んでいるか?について、
一般的には「シンプルな薄型2針時計」と言われます。

日本では結婚式やお葬式などの「冠婚葬祭」、
「格式のある式典などの場に参加する時」の時計という認識ですね。

フォーマルな場だけでなく、パーティーや、
ビジネスシーンでの使用にドレスウォッチの需要があります。
より正装に近いドレスウォッチの詳細は
「ゴールド製ケース」
「白文字盤」
「黒のステッチ無し竹符エナメルクロコダイルベルト」
「ローマンインデックス」
があげられます。

常に動いている秒針は、「時間に追われている」という印象を与えるため、
時間を気にせず優雅な時を過ごす場にはふさわしくないというのが、
ドレスウォッチの考え方です。

すべての条件を満たす時計となると限られますが、
スーツの袖口やドレスの装いになじむ「シンプルな薄型時計」かどうかがポイントとなります。

手巻き時計はローターのパーツが無い構造上、
厚みを抑えた薄型ケースにできるため、
スマートさが求められるドレスウォッチの主流となっています。

ヴァシュロン・コンスタンタン 「パトリモニー」のご紹介


REF:81180/000G-9117
ホワイトゴールドケース40mm
価格2,376,000-税込
手巻き(Cal.1400)
3気圧防水
ジュネーブシール取得モデル
パワーリザーブ:約40時間
振動数:28,800

完璧なラウンドシェイプ。無駄のない曲線美。「パトリモニー」は、
限りなく純粋でシンプルなスタイルを具現化したコレクションです。
徹底したミニマリズムを反映し、端正なラインと穏やかなカーブのバランスが美しいこのエレガントなコレクションは1950年代の活気の中で誕生したモデルから着想を得ています。

「パトリモニー」コレクションは、ヴァシュロン・コンスタンタンの比類なき伝統を現代的に再解釈し表現した、まさに再生のシンボルとなるモデルです。

ヴァシュロン・コンスタンタン 「マルタ」のご紹介

REF:81015/000R-B282
ピンクゴールドケース:38.67mm x 28.40mm,
価格:2,508,000- 税込
3気圧防水
手巻き
ジュネーブシール取得モデル
パワーリザーブ:約40時間
振動数:28,800

美しい曲線を描くトノー型とコンテンポラリーな古典主義を組み合わせたマルタコレクションは、今日の時計製造において再解釈されたヴァシュロン・コンスタンタンの美学と伝統を現わしています。

1880年に誕生したヴァシュロン・コンスタンタンの「ロゴ」にその名が由来するこのコレクションは、優れたクラフトマンシップと調和のとれたラインが融合したタイムピースとなります。

トノー型の印象的なデザイン。ケースの曲線に沿ったアワーマーカーとローマ数字が、精錬されたエレガンスを醸し出しています。

⑦まとめ

かつては大がかりで巨大だった機械式時計。

絶え間ない発明と技術開発の成果により腕に乗るケースサイズとなって
小さなパーツ同士が嚙み合い組み合わさって毎秒動いているのだと思うと、
壮大なロマンを感じます。

自らの手でリューズを回し、その回転が歯車に伝わり、
ゼンマイが収納されている香箱のゼンマイを巻き上げている・・・

手巻き時計を巻いているときには、
愛用の時計にパワー吹き込んでいるという実感が湧きます。

巻き上げることが毎回必要なことで、
使うたび時計への愛着を増していくというのが
手巻き式が機械式時計ファンの方から根強く選ばれる理由かもしれません。

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COLUMNコラム

篠田哲生

最高峰の時計ブランド「パテック フィリップ」の魅力とは何だろうか?
数々の仕事を通じてこのブランドに出会い、魅了され、遂にはユーザーとなったライター、ウォッチディレクターの篠田哲生氏が、自身の目と経験から感じた、"パテック フィリップのこと"について語る。

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