KAMINE 社長ブログ

文字サイズ

「こんな時計があったのか!」シリーズ【番外編 ミニッツリピーター】

伝統的な機械式時計の中で、数々の複雑機構としてトゥールビヨン、永久カレンダー、ミニッツリピーターなどが上げられます。
その中でも操作することで時刻を音でも知ることができるミニッツリピータは、最も製作が難しく 音色を五感で感じる芸術性をも有するものです。

ムーブメントの中の小さな部品による連携でハンマーとゴングを打ち鳴らす驚異的に小さなその精密機構は、絶対にイミテーションを作ることが出来ない、未来に向けても大変稀少なものとなっていくでしょう。
私は長い経験から様々なミニッツ リピーターを扱ってきましたが、その一部をご紹介したいと思います。(画像は引用させて頂いたものもございます)

AUDEMARS PIGUET
ジョン・シェーファー カリヨン ミニッツリピーター

 

25年位前に取扱い お客様にご納品した事を今でも鮮明に覚えています。
小型クッションケースから奏でられる3連音のカリヨンリピーターに、当時驚きました。
音は小さめですが、小型のオルゴールのような音色でとても美しい時計でした。

 

参考画像ですが、同じ ジョン・シェーファーならオリジナルに近いこのモデルがやはり趣があって良いですね。

 

遥か昔、アメリカの実業家・ジョン・シェーファーオーデマ・ピゲ社にリクエストしたモデルから生まれた有名な復刻版です。

 

JAEGER-LECOULTRE

ジャガールクルトミニッツリピーター。レバーをスライドすると、文字盤右下のガバナーが回転してゴングを鳴らします。これも25年位前の同じ頃、扱いました。
小型でレクタンギュラー(角型)なので、中のワイヤーゴングも円型ではなく構造的に残響音の少ない硬い音がしたのを覚えています。

独創的 且つ革新的な時計を創るFP Journeのリピテーション スヴラン ミニッツリピーター

40㎜でコンパクトにまとまり軽く優れたリピーターでした。
ジュルヌ氏はリピーターにはスチール側が最も適していると何度も言ったことを思い出します。
リピーターの作動中にレバーを引いても壊れないセーフティー機構が付いていました。

ケース径:40㎜、ケース厚:8.65㎜
ステンレス製、手巻き

 

BLANCPAIN
ヴィルレ パーペチュアルカレンダー付 ミニッツリピーター

ケース径:33.8㎜、Pt、自動巻

若かりし頃 この時計を扱った時の興奮は大変なものでした。
発表当時、永久カレンダーにリープイヤー(潤年)表示がないことをブランパン社に指摘し、後に改善されました。小さく複雑な構造で 音色は小さめでした。

 

BLANCPAIN
ヴィルレ ミニッツリピーター

 

ケース径:33.8㎜、シンプルな手巻き
これは過去扱ったブランパン 6マスターピース
(異なった機能を全て同一ケースサイズに入れた6本のコレクション)の中の1本です。
上品且つ エレガント。6マスターピースは当時ブランパンを再興させたJ.C.ビバー氏の傑作コレクションです。

 

ダニエル・ロート
ミニッツリピーター 手巻き 2針

ケースサイドのスライドレバーはまっすぐ下がり、リピーターを打ち鳴らします。
当時のDRのフォルムをそのまま変えることなくリピーター機能を見事に設計に盛り込みました。
レバーが少し重めの薄く小さめの時計でした。

 

スイス 時計製造の聖地と言われる ヴァレド ジュウ地方。そこにダニエル・ロートのファクトリーは有りました。(今もブルガリ社のファクトリーとして継承されています)

写真はキャリオン ミニッツリピーター トゥールビヨン RG

 

これは上記のリピーターを初め、ジェラルド・ジェンタのリピーターを製造するファクトリーの流れを汲むもので、ダニエル・ロートがブルガリの傘下になってから近年 制作発表されました。
トゥールビヨンも内蔵し、更に3つのハンマーを持つカリヨン リピーター。ハンマーが表面から見える構造にするのも製作の手間が倍近くになります。
実に迫力のあるグランドコンプリケーションと言えるものです。

 

こちらのBrogもご覧ください≫≫≫時計製造の聖地、ヴァレド・ジュウ「ジュウ渓谷」とラショードフォン | KAMINE 社長ブログ | 神戶三宮 正規時計宝飾店カミネ

 

 

そして今、その名門ファクトリーはブルガリの傘下となっています。そこで製造されている最新型のオクト ミニッツリピーター。

新しい方式を開発した極薄型ミニッツリピーターです。
リューズの逆回しでリピーターの動力を巻き上げ、左側のプッシュボタンでリピーターを作動させます。
開口されたインデックスから音色が より聞こえやすくなっています。
従来から音を鳴らす為にケースサイドにあるスライドレバーの溝をなくし、レバーではなくボタンで鳴らすリピーターとして設計されました。それにより防水性(防汗性)の弱さを大きく改善しました。
加えてチタンケースによる軽量化で日常使用に適したミニッツリピーターを誕生させました。

 

ブルガリこのモデルはカミネ111周年に“ONE ONE ONE”というテーマでトゥールビヨン、ミニッツリピーター、スケルトンの3本で1setのワンオフセットの内の1本。
音楽家、坂本龍一様とのコラボでブルガリ×カミネで製作しました。

 

 

インデックスの「1」がゴールドに。8の位置に音符を配しました。

 

ジェラルド・ジェンタ

ヴァレド ジュウに存在した有名なデザイナー ジェラルド・ジェンタ氏のファクトリー
古い時代の懐中時計にしかなかったリピーター機能が腕時計にも装填されるようになり、少しずつ市場に出るようになった頃の珍しいオーバル型のリピーターです。
薄くエレガントな印象でシースルーバックから見える彫金も見事なものでした。レバーも滑らかに軽く薄型で小さい割にとても美しい音色を持つミニッツリピーターでした。

 

ジェンタデザインの特徴的なゴールドのブレスレットは革ベルトに変更することも出来ました。
小さくて薄いので、ベルトを外した状態で小さな懐中時計と間違われ、箱の隙間に入り込み しばらくの間 行方不明の大騒ぎになった事を思い出します。。。

 

A.ランゲ&ゾーネ
ツァイトベルク ミニッツリピーター

質実剛健なドイツの風合いをはっきりと感じさせるA.ランゲ&ゾーネの名作ツァイトベルクに鳴り物を加えた画期的な時計です。
15分毎のクォーターとは違い、10分毎の10進式のリピーターなので時刻通り10分刻みで回数ゴングが増え、より分かりやすく時刻を知ることができます。
画像の12:44であれば、12回→4回→4回とゴングを打ちます。
ツァイトベルクは、パネルの瞬転式で時刻を毎分示すだけでも 大変なトルクを必要とする上、リピーターのハンマーまで作動させる このモデルは驚愕ものです。

PATEK PHILIPPE

そしてこれはPP3939 トゥールビヨン ミニッツリピーター

20年以上前に実品がカミネに来て、その素晴らしく力強い音色に感動。
サイズ、厚み、手首に響く位 強いハンマーとゴングによる大きなリピーターの音色。
トゥールビヨンまで内蔵したムーブメントの設計、その美しさ、ダイヤル上の針、インデックス、グランフーエナメルダイヤル。

どれをとっても私の接した時計の中でも、過去最高の時計のひとつに間違いありません。

素晴らしい時計を扱う機会を与えて下さった
お客様方に心から感謝を込めて。

 

< 前の記事へ

次の記事へ >

CALENDAR

2022年6月
 12345
6789101112
13141516171819
20212223242526
27282930  
LINE

LINE友だち追加して
お問い合わせ